« 【奉納乱舞】皆黒し編(3) | トップページ | 【奉納乱舞】皆黒し編(5) »

2008年3月 9日 (日)

【奉納乱舞】皆黒し編(4)

※あなたはこの駄文をスルーする自由があります。
Minakurosi_3

皆黒し編(4)古手梨花、自暴自棄! 

 

「きゅう☆」

顔面から壁に激突した詩音が、妙に可愛い声をあげながらぐったりと気絶するのを見てやれやれと胸をなで下ろす。

詩音と圭ちゃんの笑顔にショックを受けている間に綿流しのお祭りは終わり、親戚や町内会のみんなが詰めかけて、なし崩しというかお約束の打ち上げになってしまった。

日付が変わる頃にはそれもお開きになり、片づけもすませて一安心、というときにその電話はかかってきた。

『……ガイ者は富竹ジロウ。カメラっぽい何かを持っていたところから判明しました。凄く……黄色いです……』

「そこ思ったより重要なとこなんだね……わかりました。口封じのほうよろしくお願いします」

受話器を置いたところで詩音が背後に立っていた。

「あれ、どしたの詩音。スタンガンなんか持って」

「うわぁあぁああん、正当防衛アタック!」

「な、なになに!?」

いきなり意味不明なことを言いながら襲いかかってきたので、こっちもつい手が滑ってしまった。

すぽぽーんと空気投げ!

いやいや、決して圭ちゃんの件で抜け駆けしたから手加減するの忘れましたとかじゃなくて、いきなり違法改造スタンガンで襲われたら誰だってそーする私もそーする。

「きゅう☆」

というわけであくまでも不可抗力で沈んだ詩音だけど、何をどう勘違いして襲ってきたのかよくわからない。綿流し編とかと違って祭具殿侵入はしてないわけだし……?

う~ん、圭ちゃんとの件が、おじさんの想像よりももっと凄いことになってて、それがバレたと思って被害妄想をたくましくして襲ってきたとか……?

ただの酔っぱらいの可能性もあるけど、このまま寝かせておくと私が寝てる間にむっくり起きあがって、拷問狂へ華麗に転身☆したりする可能性がないわけでもないので、身の安全のためにも地下祭具殿の岩牢に閉じこめておくことにする。ごめんね詩音、チキンなお姉ちゃんを許して。

で、寝るのがすっかり遅くなったから無理もないんだけど翌朝は盛大に遅刻して、慌てて待ち合わせ場所に向かう。

「お、おはよう、二人とも……!」

「おっはよぅ、魅ぃちゃん! 今日は遅かったね」

「おはよ。……あれ、詩音はどうした?」

あ、……しまった。

起こすの忘れてた。ついいつもの癖でそのまま登校してきちゃったよ~……まぁ、詩音も昨夜は錯乱してたっぽいし、一日くらい岩牢の中でゆっくり反省するがいいやぁ!

「いや~、昨日の打ち上げですこし飲み過ぎちゃったみたいでね、あいつ要領いいからサボるってさ☆」

「あっはは、詩ぃちゃんらしいねぇ」

「だな。魅音も疲れた顔してるぜ。お前も休んだほうがいいんじゃないか?」

「圭ちゃん圭ちゃん、主人公のおじさんがいなかったら、話が進まないじゃん!」

「そりゃそうだな、あっはっは!」

そういうわけで、久しぶりに詩音抜きの3人で仲良く登校したんだけど……学校についてみるとなんだか梨花ちゃんの態度がおかしい。

「ふ……ふふふ、最多の可能性ってやつよね。人形の件がなかったから油断してたわ……」

あ、あるぇ~、梨花ちゃんに惨劇フラグなんてあったっけ?

「ねぇ沙都子ぉ~、梨花ちゃん、なにかおかしくない?」

「へ? あぁ、梨花の声が低くなってるときにおかしな言動をするのはいつものことですわ。のたうちまわるまでキムチを食べ続けたり、ココイチで10辛を頼んでみたり」

うわ。前者は確かに、脳か味覚か、どちらかが壊れていないとできない行動だね。後者は作者の日常的な行動だけど、この時代にココイチなんかあったっけ?

それに、いまは鉄平と暮らしている沙都子に聞いても意味はないかな?

で、放課後。

「わかったぁ! 犯人は『レナ』、犯行現場は『ゴミ山』、凶器は『鉄パイプ』!……よし、正解ッ!」

この世界では特に元気づけないといけない相手もいないけど、ひさびさに部活を開催した。推理ゲームを遊んでいるときにレナが大石に呼び出しを受けて退場してしまった。

「魅音……お前、すげぇよ。罪滅し編とかマジな世界ではこのタイミングで推理ゲームやってたんだよな……」

「確かに、なかなかできることではありませんわね」

圭ちゃんと沙都子がやけに真面目な顔でおじさんのゲームチョイスを絶賛してくれるのがくすぐったい。

「も、もぉ~、二人とも。褒めてもなにも出ないよ~?」

「いや、マジだって。さすが魅音だって本気で思うぜ」

「私と叔父様のコンビでもこればかりはかないませんわ」

そ、そこまで言ってくれると、部長冥利に尽きるねっ☆

その後、終了間際になって戻ってきたレナには罰ゲームとして、白い布をすっぽりとかぶって出会った人に正体を悟られないように『地方妖怪マグロです。最近引っ越してきました』と自己紹介しながら帰宅する刑を申しつけ(酷)、私は寝不足で疲れていたので監視役は圭ちゃんにまかせてさっさと帰宅することにした

ひと眠りしてそろそろおなかがすいたかな~、という頃になって玄関のチャイムが鳴った。

「はいはい、どなた~?」

『ボクなのです。お醤油を分けてもらいに来たのですよ』

梨花ちゃんだった。

あぁそういえばそんな回覧板もまわしたっけね……と、寝起きで冴えない頭を振って玄関に迎えに出る。

お醤油の瓶を持った梨花ちゃんが笑顔で待っていた。

「やっほー。お醤油、台所の床下だからさ。梨花ちゃん、自分でやってみる?」

「お言葉に甘えるのです。おじゃましますなのです」

台所までの道のりで梨花ちゃんが羽入ごっこをするのも、眠いから華麗にスルー。今にして思えば、ここらで既視感に気づくべきだったんだけど、自分が体験したわけじゃないから気がつけなくても無理ないよね?

台所に足を踏み入れた瞬間、後頭部で醤油の瓶が弾けた。

ぱかん☆って、マジいい音がしましたよ!?

「おわっ!?」

あまりに唐突な痛みに動転しつつも、涙目で頭を押さえて振り向こうとしたところへ、梨花ちゃんの手にした謎のスプレーから噴霧された謎の液体が顔面を直撃。

「っぎゃあぁああぁあぁ、痛い痛い痛い痛い!?」

目を押さえてのたうちまわってるところへ髪を掴まれ、顔面に膝蹴りが決まり、床に押し倒される。すかさずマウントポジションをとった梨花ちゃんの鉄拳が二度、三度と降ってきた。

「悪いわね……私は嘘つきなのよ」

なにこのおしゃまな悪魔(ディアーボ)!?

いくら腕力のない梨花ちゃんのパンチでも、マウントをとられているから結構きく。

たまらず振りほどこうとしたら、その腕をとって肘をひねり上げた梨花ちゃんは、素早く注射器を突き立てようとする。

くうっ、さすが梨花ちゃん、嫌なほうに喧嘩慣れしてる!

でもあの注射を食らうのは勘弁したいからこっちも暴れ、梨花ちゃんの小さな身体を床に叩きつけて振り落とすのに成功した。

なんとか立ち上がって体勢を立て直そうとするけど、梨花ちゃんも痛みに顔をしかめながら床に転がった注射器に手を伸ばそうとしているのが見えた。

「ま、待って待って! いきなりなにするのさ!」

梨花ちゃんがなにを勘違いしているのかはしらないけど、このままでは確実に殺られる。

私は詩音と違って、仲間の梨花ちゃんに本気で攻撃なんかできないのだ。

「とにかく話し合おうよ、ね……う、ううッ!?」

な、なにこれ……、体の動きが鈍い……!

いや、体が……動かないッ!?

それに景色がなにか不自然に白黒反転してる、これは!?

「羽入が時間を止めたわ……、動けないのに目の前に立たれるって気分はどぉ? この拷問狂がッ……!」

「あぅあぅあぅあぅ……まさかの羽入参上なのです!」

時間の静止した世界にいるせいなのかどうか、梨花ちゃんの背後には両手にシュークリームを手にしたスタンド……じゃなかった羽入が浮かんでいた。

「今です、梨花……! はやく詩音に注射をッ!」

……詩音? あるぇ? 

もしかしてこの二人、おじさんを詩音と勘違いしてる?

ってことは、……ああああ、そうか!

奉納演舞を詩音と圭ちゃんが抜け出して、翌日に『魅音』だけが登校した、その状況を綿流し&目明しと同じ、詩音が私に化けて暴走していると勘違いして襲ってきた!?

ひーん、おじさんは本物の魅音だってばさぁ!

「ど、どうしたのです梨花! シュークリーム2個では、あと数秒が限界で……!」

「ふふ、羽入……」

慌てる羽入に、梨花ちゃんはにやりと黒い笑みを浮かべた。

「……よく考えたら、私も全然動けないんだった!」

身も蓋もない梨花ちゃんの叫びに、思わず羽入が吐血する。

「梨花ッ……今回、僕の出番これだけなのに、それはあんまりだと思うのですよ!」

「正直ごめん」

「……時は動き出しますのです、あぅう~」

羽入が力無くつぶやきながらシュークリームを頬張る姿が薄れてゆくと同時に、白黒反転していた景色が元に戻る。

この世でもっとも意味のない時間停止だった!

「ふっ……どうやら私は、ここまでのようね」

梨花ちゃんは自嘲の笑みを浮かべて素早く包丁を手に取ると、

「どうせ愛しの沙都子も鉄平にお持ち帰りされちゃった世界だもの、もう興味はないわ……拷問されるのは御免だから、お先に退場させてもらうわね!」

「ふぇっ!? ちょ、ちょっと待っ……!」

止める間もなく梨花ちゃんはその細い首に容赦なく刃を突き立て、陸奥一族の人ですかと問いたくなるような凄絶な笑みを浮かべながら刃を水平に引き、そのまま首を斬り落とした。

ごろん。

小さな頭が血を撒き散らしながら床に転がって、長い髪がばさりと広がる。

髪の間から覗く見開いた瞳が、鈍い光を放っていた。

「ぴぃいぃいいぃいぃぃっ!?」

情けない悲鳴を上げてその場を逃げ出した私が一目散に向かったのは、地下祭具殿の岩牢だった。

「それでね、それでね、私、止めようとしたのに、いきなり梨花ちゃんが死んじゃってね……うぇえぇええぇん」

「あー。あれはねー、怖いんだよねー。目明し編でやられたときは私も、あまりの怖さにもう笑うしかないって状況だったもん。怖かったねー、お姉。よしよし」

涙ながらに語った支離滅裂な私の話を聞いた詩音は、心から同情した様子で鉄格子越しに慰めてくれた。

「うぅっ、ありがと詩音~、冷血女とかわけのわからない呼ばれ方してたけどやっぱり詩音は優しい子だよ……!」

「拷問狂はともかくも、冷血女はないですよねー。行動原理は悟史くんへの愛情とか園崎への憎悪とか圭ちゃんへの淡い想いとかのもろもろだったわけですから」

姉妹の絆のありがたさをこんなときに感じたり。私たち、次もまた双子がいいね……ってこれも詩音の名台詞だ!

「……そーいえば詩音、なんで昨夜襲ってきたの?

「あぁ、実は酔っぱらって鬼婆の大事にしてる湯呑み割っちゃったんで、お姉のせいにしようと思って」

てへっ、とか舌を出して笑う詩音は、やっぱり冷血女だと思うんですがどうでしょう。

「正直に言えば、婆っちゃだって爪一枚くらいで許してくれるよ」

「そうだといいですね、お姉」

なにを他人事のように……って、こら。

「あんたまさか、すでにやっちまったあととか?」

「正直ごめん。お姉の名前で書いた謝罪文で割れた湯呑み包んで鬼婆の部屋に投げ込んだら……命中しちゃった☆」

婆っちゃが朝から伏せったまま出てこないと思ったらこいつの仕業かッ!?

しかも私の名前でするとか鬼ですか。……鬼だった。

ややこしくなるから、こいつしばらく閉じこめといてやろうか。

「それよりお姉、死体の始末です」

いまさら真顔になられても……でも確かに重要なとこか。

「警察に言うわけにもいかないし、どうしよぅ……?」

「そうだねぇ……正直に言っても、誰も信じないよね」

当然だ。村のマスコット的存在であるところの古手の梨花ちゃまがいきなり私に襲いかかってきて、勝手に包丁で自分の首刈り落として自決しましたとか、100%信じないね!

「っておじさん、無実の罪で殺人鬼ってことぉ!?」

「ん~まぁ、よくあることだよね」

確かにひぐらしではよくあることだけど、そこで納得するのはよくないと思うんだ!

「やっぱ井戸かな……仲間の死体捨てるのは抵抗あるんだけど」

「……そうだ☆ お姉、いいアイディアがありますよぅ~♪」

ろくなこと考えてないですこの女、ええもう絶対に……。

 

「是非聞かせてください、詩音さん」

 

 

 次回>>最大の障害、その名は……「前原圭一」!?

 

web拍手を送る
駄文なりにまぁ楽しめた、という方は
押してくださるときゅんきゅんします☆

<雑談>

魅音の幸の薄さは異常だというのが定説です。(酷
あと梨花ちゃまグッバイ。次の世界でまたお会いしましょう。(さらに酷
部活の罰ゲーム、最初書いたときは「裸にダンボールかぶって家までスネークする刑」だったんですが、たぶんニコニコでダンボールレナのネタを見たような気がするので変更しました。マグロなんて、どれだけの人がわかるネタなんだろう……?
ネットの二次創作やアンソロも読んでますので、もしかするとほかにも意識せずにこの手のネタかぶりをしてる可能性もありますが、同じ題材を扱ってることによる偶然のネタ類似か忘れてるかのどっちかで、覚えている分についてはかぶらないように努力してますのでご容赦願います。

3話にコメントをいただきましてありがとうございます。
前回の話、意外にトミー絡みのとこが好きな私です。

拍手を設置したのはコメント欄がいらないように、ではないです(汗
コメントだと敷居が高く感じてる方もいらっしゃるのかな、
拍手のついでなら一言入れてもいいって人もいらっしゃるかな……いるといいな……
みたいな期待をしていなかったといえばレナに「嘘だッ!」と言われますが。
自重期間短すぎですが、今後はコメント欄にも時々書き込みたいかなと思います。

あとご紹介の映画、機会がありましたら見てみようと思います。
最近レンタルとかいってないなぁ……。

web拍手、今日もいくつかいただきましてありがとうございます。
確実にHPが回復する手応えに、感謝するばかりの私です……☆

(追記&おまけ)
2ヶ月ほど前のひぐらし初描きの絵をこのお話用に手を加えて再利用。
はにゅ~・ザ・ワールド!
Rikahanyu02
 

|

ひぐらしのなく頃に」カテゴリの記事

奉納乱舞」カテゴリの記事

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/186276/40427889

この記事へのトラックバック一覧です: 【奉納乱舞】皆黒し編(4):

コメント

読みました。
しかし、梨花ちゃんは自殺するし、羽入はヘタレだし、なんだか散々な話ですね。

投稿 影法師 | 2008年3月 9日 (日) 12:38

では遠慮なくコメントを……なんだか気を遣わせてしまって申し訳ないです(´・ω・`)

富竹死んで鷹野は出てこない……レナは大石に呼び出され……梨花が死んじゃった……これ割りとギャグ路線でいつつ、実はどんでん返しが待ってるんじゃないか?と思えなくもないのが怖いよーな……?
でも、富竹の持ってるのはあくまでカメラ「っぽい」なんですね……哀れw

梨花、早まったね……自分で自分の首を切り落とすとはなかなか超人ちっく!
よく考えたら私も動けないんだった!って、君は皆殺し編でそれを知ったんじゃなかったのか違ったのか梨花あああ!
羽入と梨花の掛け合いが楽しいですねぇ。これから死ぬとか全然思えないくらい軽いw
吐血してるところに哀を感じました。え、私だけですかそうですか(´・ω・`)

そしてやっぱり……
魅ぃちゃん、それって褒められてないんだよ、だよ?(ぁ
これに尽きますね!

投稿 SPR | 2008年3月 9日 (日) 16:07

コメントを書く